きらめき企業

農業経営の可能性を探求
地域に資する理想の農園

駒澤大学経済学部准教授
大前 智文 氏

信州伊那谷の中山間地域に位置する長野県上伊那郡中川村で化学肥料や農薬に頼らない有機農業を営む株式会社大島農園。年間100種類以上の多品種少量生産を実現するとともに、安全かつ高品質で味の良い野菜を栽培し、農業経営の可能性を広く探求し続ける気鋭の農業法人である。

化学肥料や農薬に依存する一方で、農業残渣や家畜ふんなどの肥料になるものが捨てられる現代的な農業のあり方に問題意識を持った代表取締役の大島太郎氏が2004年、生家の兼業農家を継承する形で開園し、2010年に法人化。①安全でおいしいものをつくる、②環境に負荷をかけない、③持続可能な経営、④地域に資するという経営理念を掲げて、地域にあるものを活用する有機農業こそ「無駄のない仕組み」であるという確信のもとに体制構築に奔走した。

加えて、出荷先・取引先との情報交換を経て、栽培する品目、量、品質基準などに柔軟に対応した。評判は口コミで広がり、事業は小売り・卸、飲食店、直売所、原材料販売など多岐にわたる。近年では直営のカフェ事業を始めるなど、理想の農園づくりに邁進する。大島氏は「しっかりした農業経営それ自体が地域に資する。掲げた経営理念はずっと変わらない」と話す。

2023年11月20日

株式会社大島農園

長野県上伊那郡中川村片桐3560-1
【株式会社大島農園 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手、岐阜協立大学経営学部講師を経て、2021年4月から駒澤大学経済学部准教授。日本中小企業学会第14期理事。フットワークの軽さを信条として、理論と現実との絶え間ない行き来から中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文