きらめき企業

紙箱からブランドを生む
パッケージ・コンサル業

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

隅田川に近く、都電荒川線に隣接する東京都荒川区の平和商事株式会社。創業は1936(昭和11)年。主事業は紙容器の企画・製造・販売で、関東各地にある洋菓子の個人店向けにケーキの紙箱などを製造・販売している。以前は荒川区に工場もあったが、埼玉県戸田市に工場を構えて会社機能の大半を移転している。

代表取締役の竹前友勝氏は「どのような箱に入れるかで、洋菓子や和菓子の魅力は大きく変化する」、「『この紙箱に入れると、洋菓子のイメージはこのようになる』と顧客にアドバイスできる(のが強み)」と語っている。つまり、顧客に紙箱をブランドの源泉として位置づけ提案する、パッケージ・コンサルタントとしての可能性を自社の事業に見いだしているのだ。同社のウェブサイトには、「平和の凾 (ハコ)」と銘打たれたカタログがアップされており、様々な色合・形状のきらびやかな箱が紹介されている。

また、同社は障がい者を雇用し、近隣の障がい者施設にも入所者の就労支援を目的に仕事を発注。「どのような仕事を発注するか」を吟味し、長期的な発注を心がけている。このように、同社は紙箱業界の未来を見据えながら、地域のための社会貢献にも力を注いでいる。

2022年1月11日

平和商事株式会社

東京都荒川区東尾久5-39-17
【平和商事株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡