きらめき企業

地域資源を編み込んだ
ファクトリーブランド

駒澤大学経済学部准教授
大前 智文 氏

岐阜県関市で靴下専門の一貫生産体制を確立し、百貨店向け高級ブランドのOEM(相手先ブランドによる生産)とともに、自社ブランド靴下を製造・販売する株式会社東洋繊維。地元の「美濃和紙」の糸を編み込み、機能性に特化した靴下などの積極展開で多くのファンを獲得している。

メリヤス卸商として1937(昭和12)年に創業した後、靴下製造業に転業。戦後には規模拡大と生産性向上を志向し、日本製高級靴下を追求して技術力を高めた。2000年代には現代表取締役社長の水谷顕治氏、現取締役専務の水谷陽治氏の兄弟が経営に参画。試行錯誤の末に美濃和紙の糸を使った、丈夫で蒸れにくい和紙ソックス「AMIGAMI」の商品化に成功した。自社ブランドの確立と製品ラインアップの展開により同社の認知度が向上するとともに、新型コロナ禍でも仕事とモチベーションを維持している。

「ずっと『東洋繊維の製品です』と紹介できるものがほしかった。今後も自社ブランドのラインアップを強化していきたい」と顕治氏。「世界各国の靴下工場を視察して自社の立ち位置を見つめ直すことができた。東洋繊維しかできない技術や製品を追求していく」と陽治氏。苦境の中であっても自信を持って前に進む決意だ。

2021年6月21日

株式会社東洋繊維

岐阜県関市保明1632
【株式会社東洋繊維 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手、岐阜協立大学経営学部講師を経て、2021年4月から駒澤大学経済学部准教授。日本中小企業学会第14期理事。フットワークの軽さを信条として、理論と現実との絶え間ない行き来から中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文