江戸のとんぼ玉復興
神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏
中村 智彦 氏
東京都北区の東十条駅から延びる東十条商店街のビルの1室に、ガラス工芸の工房がある。「とんぼ玉とミクロモザイク 海津屋」(株式会社海津屋)。経営者の中野雅章氏は呉服店を家業とする家で育ち、幼い時から、色彩豊かな着物に囲まれて育った。
高校卒業後に進んだ装飾品の専門学校で出合ったのが、美しいガラス工芸のとんぼ玉だった。ヨーロッパでの留学でガラス工芸の技術を学び、呉服店だった店舗を改装してガラス工芸の工房を開設。とんぼ玉に加え、カラフルなガラス片で模様を描くミクロモザイクの作家としても活動している。
その技能が認められて「東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞」も受賞した中野氏が今、取り組んでいるのは、江戸時代に人々が楽しんだ江戸のとんぼ玉の復興だ。中野氏は今年、「とんぼ玉協同組合」を同業者6人で設立した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックには、多くの外国人が東京を訪れる。その時に江戸工芸のとんぼ玉を披露し、日本の伝統美術のすばらしさを伝えたいと考えている。
着物の帯留めや根付けなどに用いられ、細かな細工が施された中野氏のとんぼ玉に魅了される人は多い。工房では、とんぼ玉とミクロモザイクの教室も開設している。
2018年10月15日
とんぼ玉とミクロモザイク 海津屋 :
東京都北区東十条4-7-18-2F
【とんぼ玉とミクロモザイク 海津屋 HP】
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1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱 HP】