外部との交流で自社を知る
山本 聡 氏
東京都八王子市の株式会社葵製作所は1971(昭和46)年創業、大型筐体(きょうたい=機器などを収める箱型容器)の溶接加工と精密板金加工を手がけてきた。その2代目として会社を引き継いだのが先代社長の娘の長谷川薫氏。長谷川氏は夫と一緒に2002年4月に葵製作所に入社。その後、家業を継ぐはずだった兄と弟が相次いで葵製作所を離れたため、予想もしなかった事業継承者となった。
それまで同社は「なるべく目立たないこと」を暗黙の社是としてきたが、自社ウェブサイトの不備から大口取引がふいになったり、顧客の事業所閉鎖で売上高、利益率が急降下したりする中、長谷川氏は新規顧客獲得を強く志向し、外部に視線を向けるようになる。
東京都中小企業振興公社の支援を受け、展示会に出展した際は「当社のような大型筐体の溶接加工と精密板金加工を両方できる会社は珍しい」ことを知り、自社の事業に自信を深めた。また、東京中小企業家同友会の経営指針成文化セミナーにも参加し、自身の理想を「想いを共に創り、絆を育む」という経営理念に結実させた。
顧客ごとの営業担当者配置や、社内の評価システムの変更、朝礼・勉強会の開催など組織改革にも取り組み、業績も急伸長している。
2018年6月25日
株式会社葵製作所 :
東京都八王子市石川町3216-7
【株式会社葵製作所 HP】
- 苦難から復活し100年企業へ
(2018年4月2日) - 切磋琢磨して成長する中小企業
(2018年4月9日) - 「プラズマ世界一」を目指して
(2018年4月16日) - 仕事とスポーツを両立できる職場
(2018年4月23日) - 先を見て「次の時代」に備える
(2018年5月1日) - 時代の変化に柔軟に対応する力
(2018年5月7日) - 都会の住まい方を考える
(2018年5月14日) - 生産者と消費者を信頼で結ぶ
(2018年5月21日) - 家族のような絆でつながる
(2018年5月28日) - メロンの水耕栽培槽を開発
(2018年6月4日) - 業界の常識を疑う
(2018年6月11日) - 研究支援メーカーへの転身
(2018年6月18日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】