研究支援メーカーへの転身
創薬や食品などの研究機関・企業向けに、自社開発した試料濃縮装置や質量分析装置を販売している神奈川県藤沢市の株式会社バイオクロマト。1983(昭和58)年に創業し、当初は大手研究機関などが扱う実験用機器や消耗品の卸売販売を事業としていた。
しかし、ITバブル崩壊などの影響で業績が悪化。現代表取締役社長の木下一真氏が「価格競争に巻き込まれれば、消耗戦に陥るだけ。自分たちにしか作れない製品を提供しない限り、企業は成長しない」との思いを強くし、研究を支援する商品メーカーへ経営の舵を切った。
全社一丸となって開発に取り組み、世界初の濃縮方法となる真空式ボルテックス濃縮により濃縮速度をアップさせた「コンビニ・エバポ」を商品化。創薬や食品などの研究施設にとって、実験前の試料の濃縮は手間と時間がかかる面倒な作業。その作業を効率化できる「コンビニ・エバポ」に対する研究施設の評価は高く、販売スタートから5年ほど経つ現在では、国内だけでなく、欧米にも輸出される同社を代表する商品となった。また、その技術力の高さから日本発明振興協会などが主催する発明大賞本賞も受賞している。
「自分たちだから作ることができた新しい商品」を世界に発信し、存在感を示している。
2018年6月18日
株式会社バイオクロマト :
神奈川県藤沢市本町1-12-19
【株式会社バイオクロマト HP】
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1974年生まれ。
株式会社日立製作所、公益財団法人神奈川産業振興センターを経て、経営コンサルタントを主事業とする合同会社FRSコンサルティングを設立。生産性向上のための現場改善などを指導。2011年から東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻非常勤講師も務める。