先を見て「次の時代」に備える
山口 義行 氏
京都にある、今年で創業75年の株式会社三橋製作所は、長年大手精密機器メーカーの下請けとして技術力を磨いてきた。しかし、1990年代後半の厳しいコストダウン要請により売り上げが4割以下にまで激減する厳しい時代もあった。「いつ、つぶれるか」という中、代表取締役の三橋宏氏は自社製品による脱下請けを決意する。
そのひとつが、即席麺の容器にスープなどのパウチを正確に「入れる」包装関連装置。その他、フィルム加工のコンバーティング分野で、フィルムのズレを検出して「そろえる」蛇行制御装置、フィルムを「巻く」ロールの着脱を容易にするエアーシャフト、シワなくフィルムを「広げる」シワ取りロールなど4つの技術を軸に事業を展開。現在、包装関連装置では国内シェアの約6割を占め、海外でも40ヵ国以上と取引があるという。もの作りの工程と工程をつなぐ技術で業界での独自の立ち位置を築いている。
同社の第2創業を支えた自社製品は高度経済成長の時代に、下請けで十分な利益がありながらも開発に取り組んだ賜物。赤字続きだったが、「いずれ下請けだけでは厳しい時代がくる」と行った地道な努力が花開いた。「今」を見て安穏とせず、常に「次の時代」に備えて変化することが生き残る中小企業のカギとなる。
2018年5月1日
株式会社三橋製作所 :
京都府京都市右京区山ノ内赤山町1
【株式会社三橋製作所 HP】
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(2018年4月23日)
1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】