スタートアップ企業の飛躍
山本 聡 氏
栃木県足利市で、チタンアルミ製タービンブレードなどの航空機エンジン部品の生産技術開発・量産を手がけるAeroEdge(エアロエッジ)株式会社は2015年の設立ながら、フランスの著名な航空機関連企業サフラン社との直接取引を基軸とした成長を実現。日本の機械金属系業界では珍しい「スタートアップ企業」としての色彩が濃く、経済産業省の地域未来牽引企業に選定されるなど、行政の注目度も高い。
同社は近隣の菊地歯車株式会社の航空機部品事業を母体としたスピンオフ企業として設立。菊地歯車の営業本部長や航空宇宙事業部事業部長を歴任した技術者である創業者の森西淳氏(代表取締役社長)は「自分が欲する仕事の発注元は欧米の航空機関連企業だと気づき、海外展開を実現した」と語る。同社は森西氏の日本の機械金属系業界における先駆者としての想いと行動が結実した企業といえる。
そんな同社の特徴のひとつが経営陣のバックグラウンドの多様性。米国や英国の大学の学位を有し、大手の重工企業や自動車企業、IT企業、コンサルティング企業で職務経験のあるメンバーが名を連ねている。
中小企業にとって、新規事業開発と人材獲得は不可分の関係にある。同社の経営に日本の中小企業の今後に関するヒントがある。
2018年8月20日
AeroEdge株式会社 :
栃木県足利市寺岡町482-6
【AeroEdge株式会社 HP】
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(2018年8月6日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】