きらめき企業

印刷は楽しいものづくり

岐阜経済大学経営学部講師
大前 智文 氏

岐阜県羽島郡岐南町で印刷業を営む株式会社タカダ印刷。インターネットの普及や書類の電子化・ペーパーレス化の影響を受ける印刷業界の中で、「印刷する意味」を真摯に問い続けることにより独自の活路を開いている。

1935(昭和10)年に創業。「印刷は文化」という理念を堅持しつつ、時代の流れにも機敏に対応してきた。大きな転機は2005年。父親の急逝により、現代表取締役の高田華子氏が事業を継承。手探りの事業経営に奔走するとともに、印刷業という生業をどのように理解すれば良いのか思案を続けた。日々の業務で取り扱う印刷物に込められた顧客・制作者の創造性、アイデア、デザイン、こだわり、想いに触発され、それらの最終工程を担う印刷業の奥深さを学んだ。「印刷は文化」という理念が腑に落ちるとともに、「印刷は楽しい」という実感を得た。

近年では表現力や提案力を高めるために、かつて主流だった欧州製の箔押機や活版印刷機を「(再)導入」。多様な表現方法から、独自の「楽しい印刷」を確立しようとしている。高田華子氏は「印刷はお客さまの想いを紙にのせる楽しいものづくり。今の時代に『印刷する意味』を追求し、文化の一端を担うことができれば嬉しい」と話し、自社のあり方を見定める。

2018年9月10日

株式会社タカダ印刷 :

岐阜県羽島郡岐南町みやまち3丁目13

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手を経て、2017年より岐阜経済大学経営学部講師に着任。日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文