無農薬の碾茶生産で国際化に挑む
山本 聡 氏
日本を代表するお茶どころである静岡県島田市で、お茶の生産から加工・販売まで一貫して展開するKawane抹茶株式会社。2015年設立と歴史が浅い同社、実は島田市でお茶を生産する東邦農園と隣の牧之原市でお茶を生産する小栗農園が、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の生産を企図して、共同出資で設立した。
代表取締役社長を務めるのは、東邦農園の大橋一輝氏。他のお茶農家は碾茶生産への関心はさほど高くなかった。碾茶の栽培には、茶畑全体に黒い覆いをかけて2週間ほど日除けをしなければならず、独自の設備も必要になるなど、時間と労力が余計にかかるためだ。同社はそうした労を惜しむことなく、碾茶栽培に取り組んだ。
また、静岡県の碾茶生産者として、初めて無農薬の有機認証も取得。元々、東邦農園では無農薬栽培に傾注して有機認証も取得しており、その歴史を継承して碾茶の有機生産という静岡県内でも珍しい経営スタイルを構築した。
そんな同社が生産する碾茶は、海外輸出に力を入れている静岡県内の製茶企業が特に高く評価。抹茶を海外輸出する際は無農薬・有機栽培の碾茶の調達が鍵を握るためだ。製茶企業と連携して海外展開の様々な試みにも挑戦中の同社は静岡県のお茶業界を国際化に導くベンチャー企業とでもいうべき存在である。
2019年3月11日
Kawane抹茶株式会社 :
静岡県島田市川根町家山2339
【Kawane抹茶株式会社 HP】
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(2019年3月4日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】