日本茶の輸出拡大を牽引
山本 聡 氏
静岡県静岡市の株式会社カクニ茶藤は1977(昭和52)年に創業し、日本茶の製造・加工販売・輸出業を展開。特に米国や欧州、台湾への輸出で知られている。今から約30年前、ドイツへのお茶の輸出を開始。しばらくは、輸出が売上高に占める割合は数%程度だったが、2代目を継いだ現代表取締役社長の加藤重樹氏が輸出事業を大きく飛躍させた。
日本のお茶消費量が長期的な低迷を続け、加えて東日本大震災の混乱により静岡県産茶がさらに大きな打撃を受ける中、加藤氏はJETRO(日本貿易振興機構)主催の国際商談会に積極的に参加。米国大手コーヒー企業の知遇を得て、短期間で取引に成功。日本茶の輸出拡大を本格的に企図するようになった。
海外市場に輸出するお茶は、農薬問題の解決が必須だったが、加藤氏自身、ドイツ市場への輸出の経験から無農薬・有機栽培に関する重要性を熟知し、知識も豊富だったため、お茶の有機栽培が盛んな宮崎県や鹿児島県に何度も出向き、生産農家との関係を構築していった。
2015年には宮崎県の生産農家とJV(共同企業体)も設立。そうした生産農家との関係性を基盤に、同社は海外市場開拓を強力に推し進め、現在では売上高の約3分の1を海外直接輸出が占めるに至っている。
2019年1月21日
株式会社カクニ茶藤 :
静岡県静岡市葵区牧ヶ谷2083
【株式会社カクニ茶藤 HP】
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(2019年1月15日)
1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】