きらめき企業

「時代の課題」に応える中小企業

立教大学名誉教授
山口 義行 氏

富山県富山市の株式会社アイペックは同県内で数少ない非破壊検査会社。ビルや工場などの構造物、橋やトンネルといった社会インフラの“健康診断”を業務とし、建物や設備を傷つけることなく性質や状態を検査する。競合が少ない分、地域の多様なニーズに応え、地域の安全を支えるという気概が同社発展の原動力だ。

代表取締役の東出悦子氏が父親から社長業を引き継いで約3年。特に力を入れてきたのが、IoT(モノのインターネット)を取り入れたインフラの維持管理システムだ。「IoT開発部」を設置し、たとえば橋の主桁にひずみセンサーを取り付け、遠隔地でモニタリングすることにより劣化状況を判断できるシステムなどを開発。これはセンサーを変えれば、立体交差で掘り下げ式になっている道路などの水位のモニタリングなどにも応用できる。また、高速道路の通路規制に使用されているカラーコーンの中に加速度センサーを入れることで、コーンが転倒したり飛ばされたりしたら、管理者に通知するシステムも開発した。コーンの転倒が原因で事故が起きれば工事会社が多額の損害賠償を求められるため、現状では数時間おきに関係者が見回っている。

いずれも開発の背景にあるのは労働力不足。「時代の課題」に応えんとする中小企業こそ、「時代の先」をいく企業なのだ。

2019年1月7日

株式会社アイペック :

富山県富山市上野新町5-4
【株式会社アイペック HP】

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山口義行(やまぐちよしゆき)氏

1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】

山口義行氏