日本茶を海外に売り込む
山本 聡 氏
静岡県島田市の杉本製茶株式会社は1998年から20年にわたり、緑茶を先駆的に海外へ輸出し、2017年にはそうした功績が評価されて経済産業省の地域未来牽引企業に選定された。
1946(昭和21)年創業の同社は2代目になる現代表取締役社長の杉本博行氏が、全国茶審査技術競技大会で1位の農林水産大臣賞を受賞するなど、製茶業界では名が知られていた。その杉本氏が始めた海外輸出を受け継ぎ、本腰を入れて展開を始めたのが次男の杉本恭平氏だ。
恭平氏は教師を志していたが、その夢がかなわず、心機一転のため2002年に渡米した。米国には、自身が子どものころから慣れ親しみ、「あるのが当然」と考えていた緑茶がどこにもないことを知り、2005年にシアトルに現地法人を設立し、海外販売に力を注いだ。当初はなかなか成果があがらなかったが、在米日本人会などのネットワークも活用。2008年には米国向けのブランド「SA」の販売も開始し、緑茶や抹茶のブームも追い風になって、徐々に売り上げを伸ばしていき、現在では同社の売り上げ全体の半分を占めるまでに成長させた。
特に健康志向を背景としてオーガニック抹茶の売り上げが拡大中。同社では抹茶関連の設備投資を推進するなど、海外事業を経営の主軸にしようと、舵を切り替えつつある。
2018年11月26日
杉本製茶株式会社 :
静岡県島田市横岡242-1
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1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所を経て、2012年東京経済大学経営学部専任講師として着任、2015年准教授(担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。
【山本聡の研究室】