中小企業のデータ活用戦略
山口 義行 氏
「利益率20%を超える鉄工所」、「24時間無人加工の夢工場」、「数人の募集に1,000人以上の応募者が集まる魅力的企業」。これらは京都府宇治市に本社を置くアルミ加工業Hilltop(ヒルトップ)株式会社につけられた形容句。以前は「油まみれの鉄工所」だったという同社が、どうやって「先進的企業」に生まれ変わったのか。
その原点は、副社長の山本昌作氏自身が「仕事が嫌でたまらなかった」こと。朝から晩まで油まみれで働き、日々の仕事も大量生産のルーティンワーク。「脱下請け」を決断したが、売り上げは8割減。この苦境に、山本氏が選択したのが“データ化”による工場無人化だった。
職人たちから根気強く情報を引き出してデータを蓄積。シミュレーションソフトなどなかった時代、システム開発の1回の失敗で損失が数百万円出たこともあった。それでも、山本氏は諦めず、またどんな損失が出ても従業員を叱らなかった。こうして多品種単品・24時間無人加工の「ヒルトップ・システム」が完成。人員の多くを営業などに配置する余裕が生まれ、受注の不安定性も克服。高利益率企業へ脱皮した。
急速な情報技術の進歩と産業構造の変化により、中小企業の経営環境が劇的に変化しつつある中、どんな成長戦略を描くか。山本氏の挑戦には多くのヒントが含まれている。
2019年2月25日
HILLTOP株式会社 :
京都府宇治市大久保町成手1-30
【HILLTOP株式会社 HP】
- 苦難から復活し100年企業へ
(2018年4月2日) - 切磋琢磨して成長する中小企業
(2018年4月9日) - 「プラズマ世界一」を目指して
(2018年4月16日) - 仕事とスポーツを両立できる職場
(2018年4月23日) - 先を見て「次の時代」に備える
(2018年5月1日) - 時代の変化に柔軟に対応する力
(2018年5月7日) - 都会の住まい方を考える
(2018年5月14日) - 生産者と消費者を信頼で結ぶ
(2018年5月21日) - 家族のような絆でつながる
(2018年5月28日) - メロンの水耕栽培槽を開発
(2018年6月4日) - 業界の常識を疑う
(2018年6月11日) - 研究支援メーカーへの転身
(2018年6月18日) - 外部との交流で自社を知る
(2018年6月25日) - 地元産品の再評価で町起こし
(2018年7月2日) - 細く長く地域とともに
(2018年7月9日) - 森と都市をつなぐアーバンフォレスター
(2018年7月17日) - 町工場が作ったアート・オブジェ
(2018年7月23日) - 高齢者向けIoT体感ルーム
(2018年7月30日) - 商品化できないにんにくを活用
(2018年8月6日) - スタートアップ企業の飛躍
(2018年8月20日) - 新しさとぶれなさ
(2018年8月27日) - 伝統の味を若者にも
(2018年9月3日) - 印刷は楽しいものづくり
(2018年9月10日) - 経営理念の地道な実践
(2018年9月18日) - 時代に流されないしたたかさ
(2018年9月25日) - 静かさを科学し、次世代防音・吸音材を開発
(2018年10月1日) - 地域とヒトをつなぐカフェ
(2018年10月9日) - 江戸のとんぼ玉復興
(2018年10月15日) - オーガニックの本質
(2018年10月22日) - 本業を通じた社会貢献
(2018年10月29日) - 「防災・減災×IT」で社会に貢献
(2018年11月5日) - 技術力をいかにアピールするか
(2018年11月12日) - 「出汁」と「手打ち」へこだわり人気店に
(2018年11月19日) - 日本茶を海外に売り込む
(2018年11月26日) - 新たな交流を生む地域の特産品
(2018年12月3日) - プロレスを通して地元を元気に
(2018年12月10日) - お米の持つ無限の可能性
(2018年12月17日) - 画像・映像の独自技術で飛躍
(2018年12月25日) - 「時代の課題」に応える中小企業
(2019年1月7日) - 印刷技術を核とした電子機能製品
(2019年1月15日) - 日本茶の輸出拡大を牽引
(2019年1月21日) - 空き店舗を「集う場所」に
(2019年1月28日) - 職人の意地を示した究極の自転車
(2019年2月4日) - ダンボールを「表舞台」に
(2019年2月12日) - バーベキュー場で観光振興
(2019年2月18日)
1951年愛知県生まれ。
2001年に立教大学経済学部教授に就任。2017年4月から名誉教授。外務省参与として中小企業の海外展開、関東経済産業局「新連携支援」政策の事業評価委員長として中小企業連携支援にかかわるほか、企業経営者との勉強会を全国で開催するなど、自ら中小企業支援を積極的に展開。
【山口義行・公式HP】