和紙の魅力をグローバルに
神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏
中村 智彦 氏
愛知県名古屋市に本社がある株式会社ワーロンは、1922(大正11)年創業の老舗企業だ。
創業から1950年代までは セルロイド玩具の製造企業だった。1960年代、高度経済成長期を迎えた日本では住宅建築ブームが起こり、それを受けて同社は和紙とビニールシートを貼り合わせた障子紙「ワーロンシート」を発明し、販売を開始した。和紙の趣のある風合いや独特の質感などはそのまま残し、一方で破れにくくて燃えにくく、掃除もしやすいワーロンシートはヒット商品となった。
それから約半世紀。「和紙の魅力を引き出しながら、新たな商品開発をしています」と営業統括室室長の渡辺友莉氏は話す。日本の住宅から和室が減り、障子やふすまの需要も減っているが、アクリル板やガラスなどの素材と和紙を組み合わせ、デザイン性にもこだわった新商品などを開発し、現代の住宅や建築にマッチした製品を送り出している。
破れやすい・汚れやすい・燃えやすいといった和紙の弱点を改善したワーロンシート。同社は日本の伝統的な「和風」を「Wa-fu」と表現して、国内だけではなく海外に向けても発信している。日本の伝統である和紙に、現代のニーズに対応する機能を付加することで、新たな価値を生み出している企業だ。
2019年3月18日
株式会社ワーロン :
愛知県名古屋市中村区千原町7-21
【株式会社ワーロン HP】
- 苦難から復活し100年企業へ
(2018年4月2日) - 切磋琢磨して成長する中小企業
(2018年4月9日) - 「プラズマ世界一」を目指して
(2018年4月16日) - 仕事とスポーツを両立できる職場
(2018年4月23日) - 先を見て「次の時代」に備える
(2018年5月1日) - 時代の変化に柔軟に対応する力
(2018年5月7日) - 都会の住まい方を考える
(2018年5月14日) - 生産者と消費者を信頼で結ぶ
(2018年5月21日) - 家族のような絆でつながる
(2018年5月28日) - メロンの水耕栽培槽を開発
(2018年6月4日) - 業界の常識を疑う
(2018年6月11日) - 研究支援メーカーへの転身
(2018年6月18日) - 外部との交流で自社を知る
(2018年6月25日) - 地元産品の再評価で町起こし
(2018年7月2日) - 細く長く地域とともに
(2018年7月9日) - 森と都市をつなぐアーバンフォレスター
(2018年7月17日) - 町工場が作ったアート・オブジェ
(2018年7月23日) - 高齢者向けIoT体感ルーム
(2018年7月30日) - 商品化できないにんにくを活用
(2018年8月6日) - スタートアップ企業の飛躍
(2018年8月20日) - 新しさとぶれなさ
(2018年8月27日) - 伝統の味を若者にも
(2018年9月3日) - 印刷は楽しいものづくり
(2018年9月10日) - 経営理念の地道な実践
(2018年9月18日) - 時代に流されないしたたかさ
(2018年9月25日) - 静かさを科学し、次世代防音・吸音材を開発
(2018年10月1日) - 地域とヒトをつなぐカフェ
(2018年10月9日) - 江戸のとんぼ玉復興
(2018年10月15日) - オーガニックの本質
(2018年10月22日) - 本業を通じた社会貢献
(2018年10月29日) - 「防災・減災×IT」で社会に貢献
(2018年11月5日) - 技術力をいかにアピールするか
(2018年11月12日) - 「出汁」と「手打ち」へこだわり人気店に
(2018年11月19日) - 日本茶を海外に売り込む
(2018年11月26日) - 新たな交流を生む地域の特産品
(2018年12月3日) - プロレスを通して地元を元気に
(2018年12月10日) - お米の持つ無限の可能性
(2018年12月17日) - 画像・映像の独自技術で飛躍
(2018年12月25日) - 「時代の課題」に応える中小企業
(2019年1月7日) - 印刷技術を核とした電子機能製品
(2019年1月15日) - 日本茶の輸出拡大を牽引
(2019年1月21日) - 空き店舗を「集う場所」に
(2019年1月28日) - 職人の意地を示した究極の自転車
(2019年2月4日) - ダンボールを「表舞台」に
(2019年2月12日) - バーベキュー場で観光振興
(2019年2月18日) - 中小企業のデータ活用戦略
(2019年2月25日) - 丹沢山麓の行列のできる製パン店
(2019年3月4日) - 無農薬の碾茶生産で国際化に挑む
(2019年3月11日)
1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱 HP】