きらめき企業

確かな商品と高い技術
昔ながらの商法が再評価

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

岐阜市の中心商店街にある眼鏡店「メガネのウカイ」。1906(明治39)年に創業し、現在の経営者である宇佐見潤氏で5代目だ。この20年ほど、郊外型ショッピングセンターが次々に開業し、格安を売りにする大手眼鏡チェーン店が出店。中心街もシャッターを閉じる店が増えた。

しかし、宇佐見氏は地道な商売の方法を継続。県内の眼鏡店経営者との勉強会や福祉施設への眼鏡製作のボランティア活動を続ける一方、眼科医や学校との協力関係をつくり、紹介ネットワークを構築してきた。

同店の高い検査技術は眼科医からも信頼が厚い。紹介を受け、他府県から訪れる顧客も少なくない。商品構成も、都心の眼鏡店に引けを取らない海外ブランドなどをそろえている。高品質の商品と丁寧な説明、そして高い技術という昔ながらの商法。しかし、古い形を守っているだけではなく、「若い人に人気のブランドをそろえたり、店に入りやすいようコーヒーショップのカウンターのようにしたり工夫しています」と宇佐見氏。「長く使うなら良いものを」と考える消費者が増え、さらにここにきて新型コロナウイルス問題で「コンタクトより眼鏡」という客も増えている。商機到来である。

2020年6月8日

メガネのウカイ :

岐阜県岐阜市神田町6-7
【メガネのウカイ HP】

過去記事一覧

中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱 HP】

中村智彦氏