きらめき企業

中小企業連合が作った最高級ゴルフクラブ

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

中小企業がグループを結成して製品を作り、販売するというのは昨今、さほど珍しくない。しかし、ものがゴルフクラブセット、それも200万円以上という値段を聞くと驚かされる。

「MUQU(ムク)」と名付けられたこの最高級ゴルフクラブセットを作ったのは、中部地方の中小企業グループ「KASANE CHUBU」。製造業11社が、それぞれの最高の技術を持ち寄って作り上げた製品だ。

発起人の迫田邦裕氏は、愛知県清須市にある、自動車のドアや窓枠のゴム製部品の金型メーカー、株式会社エムエス製作所の副社長だ。「製造業は一流のもの作りをしていても、一般の人への認知度が低い。それぞれの持っている技術を持ち寄り、コストを考えずに作ったら、どんなものが作れるかを試してみた」と話す。

クラブ1本36万円(税別)、セットなら200万円以上するこのゴルフクラブ、名古屋市内の百貨店でも取り扱われ、人気を博す。

「KASANE CHUBU」では今後、近代産業と伝統産業の融合を狙った第2、第3の商品開発に取り組む。中小企業の匠の技を集めることによって製造が可能になった最高級ブランドが再び、中部地方から生まれることになりそうだ。

2019年9月30日

株式会社エムエス製作所 MUQU OFFICE :

愛知県清須市春日立作54-2
【株式会社エムエス製作所 MUQU OFFICE HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【凡才中村教授の憂鬱 HP】

中村智彦氏