きらめき企業

技術力と開発力の結晶
折り紙のような金網

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

東京都荒川区の石川金網株式会社は1922(大正11)年の創業で、各種金網製品を開発・製造・販売している。戦前は航空機や艦船に用いる金網を製造。戦後はまずドライヤーなどの家電機器や建材に用いる金網を、次いで自動車部品としての金網を製造・販売するようになった。発明家でもあった創業者の精神を受け継ぎ、現在も商品開発に熱心で、社内外でアイデアを得て様々な金網製品を世に送り出してきた。

そんな中で、近年、最も力を入れて開発をし、販路開拓を行っているのが折り紙のように折ることができる金網「おりあみ(ORIAMI)」。3代目を継いだ現代表取締役社長の石川幸男氏はリーマン・ショックによる経営環境の悪化に直面していた十数年前、今後の展開を考える中で「一般消費者向けの製品を開発したい」、「折り紙の世界で金網を使いたい」と着想。開発には、著名な折り紙作家の意見も取り入れている。「おりあみ」は石川金網を象徴する製品として多くの媒体で紹介されている。石川氏は世界に発信しようと、イタリアの家具見本市であるミラノ・サローネやドイツの消費財見本市であるアンビエンテにも出展。おりあみを核にした国際化を図っている。

2020年3月9日

石川金網株式会社 :

東京都荒川区荒川5-2-6
【石川金網株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡