きらめき企業

良いものを長く使う
「靴磨き文化」の伝道師

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

カフェなどが入る福岡市の商業施設の片隅に、一風変わったカウンター風の店がある。靴磨き店「Grande Cielo(グランデチェーロ)」。店主の森大空(ひろたか)氏がびしっと決めたスーツ姿で靴磨きにいそしむ。

大学2年生の時、家具の修理店へ通ううち古い物を大切に使い、新たな命を吹き込むことに興味を持った。やがて靴磨きに関心が広がり、出張靴磨きからスタート。地元企業への飛び込み営業をしているうち、スーツ姿で「靴磨き文化」について話す森氏に興味を持つ人が増えてきた。「営業に出かける前の人などが利用してくれるようになりました」

1回の靴磨き料金は数千円。森氏の心を込めた靴磨きに触発されてか、高くても長持ちする良いものを買って修理して使うことが評価されるようになってきたと森氏は感じている。

博多駅前での路上靴磨きを経て、新しくオープンした小規模商業施設「裏六本松プロジェクト」に出店。「地域の人たちが大切にしている靴を持ち込んでくれるようになってきました」おしゃれなカフェバーでコーヒーやお酒を飲み、森氏の靴磨きを見ながら会話を楽しむひととき。大切なものを見つけられる素敵な時間になるかもしれない。

2021年2月8日

Grande Ciero

福岡県福岡市中央区谷1-14-2
【Grande Ciero HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【中村智彦(オフィシャルページ)】

中村智彦氏