きらめき企業

墨田区から世界へ羽ばたいた
業務用食材の老舗メーカー

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

東京都墨田区の業務用食材メーカー、丸源飲料工業株式会社。1916(大正5)年に東京市本所区(現在の墨田区南部)で創業し、1世紀以上の社歴を誇る。ラムネの製造・販売から事業をスタートし、戦後は多角化を積極的に進め、現在ではジュースやチョコレートドリンク、シロップ、冷凍フルーツ、ピューレ、ゼリー、ムースなど様々な業務用食材を製造・販売する、墨田区を代表する老舗企業に成長した。

高度成長期以降の同社の経営史は国際化の歴史でもある。海外から新たな飲料や食材が輸入され、一般家庭の食卓にも上るようになった1970年代、同社は米国の食品会社との合弁企業を日本に設立し、チョコレートドリンクなど米国の飲料・デザート食材の輸入・販売を開始。その後、世界中の企業に取引を広げて、業界の中で先陣を切って、グローバルな調達ネットワークを構築していった。

4代目となる現代表取締役社長の阿部貴明氏は米国の大学でMBAを取得し、同社が合弁契約をした米国企業などでインターンをしている。阿部氏の息子も入社後に米国留学し、米国企業のインターンシップに参加している。経営者自身が国際化することで、同社の国際化を牽引しているのである。

2020年11月2日

丸源飲料工業株式会社 :

東京都墨田区立花4-7-8
【丸源飲料工業株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡