きらめき企業

再評価される、生乳の風味を
生かした低温殺菌牛乳

岐阜協立大学経営学部専任講師
大前 智文 氏

「刃物のまち」、岐阜県関市で低温殺菌(パスチャライズ)牛乳・乳製品の製造・販売、飲料自動販売機関連事業を営む関牛乳株式会社。低温殺菌牛乳とは65℃の低い温度で30分間の長い時間をかけて殺菌した、地元の新鮮な生乳本来の風味を生かした牛乳。同社製品は東海地区を中心に話題となり、スーパーやコンビニを中心に取り扱い店舗が拡大している。

1938(昭和13)年に吉田牧場として創業。1950(昭和25)年に関牛乳を設立し、地域乳業を担ってきた。牛乳以外にも「関珈琲」や「関フルーツ」などの乳飲料を展開。宅配や学校販売に加えて自動販売機設置にも注力し、地元の「ソウルドリンク」としての地位を確立した。近年では、低温殺菌製法はそのままにパッケージデザインを見直し、「やや高価だが特別な牛乳」というブランドの再構築を志向。また、自社の牛乳を使用したサブレやアイスクリームの販売を開始。業界全体の需要減退や乳業者の大規模化・集約化という環境変化の中で、中小企業ならではの牛乳の魅力を創出している。

「当社は『関』という土地に生かされている存在」と語る代表取締役社長の吉田宰志氏。地産地消のつなぎ役として「関」を冠した社名を体現するあり方を堅持していく。

2020年11月30日

関牛乳株式会社 :

岐阜県関市観音前41
【関牛乳株式会社 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手を経て、2017年より岐阜経済大学(現・岐阜協立大学)経営学部講師に着任。日本中小企業学会幹事。駆け出しの研究者としてフィールドワークを重ね、中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文