きらめき企業

「へら絞り」のプロ集団
人材育成手法にも高評価

玉川大学
経営学部准教授
長谷川 英伸 氏

東京都武蔵村山市の株式会社ナガセは、金属のへら絞り加工を中心に、半導体・電子・自動車・鉄道・医療・航空など多岐にわたる分野の部品製造と組立加工事業を展開している。

へら絞りとは、平面状や円筒状の金属を回転させながら、職人が「へら」と呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形させる金属加工手法。職人の技に頼るところが大きい手法で、古くは鍋ややかんなどの加工に用いられ、近年は航空機のノーズコーン(機体の先端の円錐状の部分)やロケットの部品などにも使われている。

この技術に強みを有する同社は人材教育にも尽力。それが評価され、2020年度の「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」で、優秀賞を受賞した。「訓練項目書(力量MAP)」と呼ぶツールに個々人の技量を記録して「見える化」し、技量に応じた教育訓練を実施している点や、高校生・大学生を職場に受け入れ、将来の技能者育成に貢献している点が評価された。近年は一般消費者向け事業にも力を注ぎ、オンラインショップを開設してステンレス製カップなどのオリジナル商品を販売している。

代表取締役社長の長瀬雄一郎氏は「これからも人材教育に力を入れたい」と話す。

2021年9月27日

株式会社ナガセ

東京都武蔵村山市伊奈平3-21-3
【株式会社ナガセ HP】

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プロフィール 長谷川英伸

1982年生まれ。
2013年玉川大学経営学部助教、2018年から准教授。専門分野は中小企業の企業間関係。特に中小企業間のネットワークから生み出される新製品、新サービスのプロセスについて分析し中小企業の存立維持可能な要因を模索している。中小企業経営のセミナーなどの講師も務める。

長谷川英伸