きらめき企業

生産者と消費者が交流する
「井戸端会議所」的マルシェ

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

山形県東置賜郡川西町の「かわにし森のマルシェ」は、町役場や町民たちの出資で設立された産直品販売所。開業当初は集客に苦労した。そんな中、活性化に取り組んできたのが、マネージャーの横山亜紀さんだ。

横山さんが実践していることのひとつが、新しい農産品などが入荷すると、それを使って自分たちで料理をすること。「こうすれば、おいしく食べられる」。サブマネージャーの角田美紀さんと一緒に工夫して新たなレシピを掲出すると、今度は町内在住の女性陣から「こんな方法もあるよ」と新たな情報が寄せられ、レシピがバージョンアップする。横山さんが店頭に立つと、納品に訪れた生産者、買い物に訪れた住民たちの輪ができ、調理法についての情報交換が始まる。

「農家の方も今までと違った野菜を栽培し始め、珍しい品が並ぶようになりました」と横山さんはほほ笑む。

「行くと楽しい場所になった」と町内の女性が評するマルシェ。横山さんが、生産者と消費者を商品と情報で結びつける「井戸端会議所」に変身させたのだ。新型コロナ禍の中でも売り上げは順調。「川西町が交流する東京都の北区や台東区の中小企業の良い商品も紹介、販売していきたい」と横山さんは意気込んでいる。

2021年8月10日

かわにし森のマルシェ

山形県東置賜郡川西町中小松2534
【かわにし森のマルシェ HP】

過去記事一覧

中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【中村智彦(オフィシャルページ)】

中村智彦氏