きらめき企業

「へそ曲がり」の戦略から
生まれるユニーク飲料

駒澤大学経済学部准教授
大前 智文 氏

静岡県島田市に本社を置き、炭酸飲料、果汁飲料、酒類の製造・販売を営む木村飲料株式会社。大手の寡占化が進む飲料業界で独自路線を追求し、「しずおか茶コーラ」、「桜えびサイダー」などのユニークな商品を開発・発売し続けるヒットメーカーだ。

1947(昭和22)年の創業から、地元に根ざしたビン入り清涼飲料水の製造・販売に専念。幅広い商品ラインアップ、近隣都市への販路の拡大、 OEM(相手先ブランドの製品製造)などにより生き残りを図ってきた。

転機は2006年ごろ。「これまでにない商品」を求めて地元産の素材を使用した「わさびラムネ」を発売したところ、静岡県下のサービスエリアや土産店などで予想外の売れ行きを示した。翌年、第2弾として「カレーラムネ」を発売すると全国から注文が殺到し、「ユニークな飲料」の市場性を確信した。現在でも毎月のように新作を出し続けるとともに、海外への輸出にも注力する。

専務取締役の木村寿之氏は「大手とは正反対の『普通でない』ことに挑戦する『へそ曲がり』の戦略で、ガラス容器と特別な原料にこだわった世界に唯一の飲料メーカーでありたい」と話し、個性的で楽しい飲料のアイデアを練る。

2021年11月22日

木村飲料株式会社

静岡県島田市宮川町2429
【木村飲料株式会社 HP】

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大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手、岐阜協立大学経営学部講師を経て、2021年4月から駒澤大学経済学部准教授。日本中小企業学会第14期理事。フットワークの軽さを信条として、理論と現実との絶え間ない行き来から中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文