きらめき企業

からくり時計の開発メーカー
3代目経営者の新たな挑戦

神戸国際大学経済学部教授
中村 智彦 氏

観光地などで時報に合わせて音楽が流れ、人形が出てきて踊り出すからくり時計に出合ったことがある人は多いだろう。京都市にある株式会社ヤスダモデルはそんな観光地のランドマークを製造するメーカーだ。

もともとは鋳物の製造に使う木型をつくる会社だったが、その技術を活用して木製の特注家具などをつくるようになった。更にからくり時計の開発に乗り出し、今では企画・製造から設置までをこなす。

1947(昭和22)年に創業した同社の2代目代表取締役が、創業者である祖父の後を継いだ安田清之氏。そして3代目がその息子の一真氏だ。

「祖父と父が基礎をつくり上げた会社を単に引き継いでいくだけではダメ」と一真氏。木工の加工技術に加え、電子・電気関連の技術を持っていることが同社の強みだが、「競争相手も少なくない。うち独自の企画力・デザイン力を身につけ、更にそれを提案できる力をつけていきたい」と3代目としての意気込みを語る。

決まった時間に音楽が流れて、人形が動き、踊るからくり時計には夢がある。それは京都の中小企業の伝統と技術、そして若い経営者の新しい経営感覚でこれからも生み出されていくことだろう。

2022年7月19日

株式会社ヤスダモデル

京都市南区久世築山町379-4 久世工業団地
【株式会社ヤスダモデル HP】

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中村智彦氏

1964年生まれ。
大阪府立産業開発研究所などを経て2007年から神戸国際大学経済学部教授。専門である中小企業論・地域経済論では、現地での調査・研究を重視。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興プロジェクトにも数多く参画している。
【中村智彦(オフィシャルページ)】

中村智彦氏