きらめき企業

自社技術の見直しや
外国人材の活用で飛躍

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

株式会社ゴトウ熔接(新潟県燕市)は金属などを半溶融の状態にして接合する熔接(溶接)技術を主軸にしたパイプづくりのスペシャリスト。代表取締役である後藤英樹氏の父が1968(昭和43)年に創業し、その後、ステンレス製魔法瓶の製造で事業規模を急拡大させたが、取引先の1社依存が生じ、2000年代初めに主力顧客の海外展開によって仕事がなくなり、経営危機に直面した。

後藤氏は地元商工会青年部での学びを通じ、熔接だけではなく、巻き・プレス・板金・切削・表面処理といった、パイプの一貫生産体制のために培った多様な金属加工技術が自社の強みであることに気づく。それを踏まえて包丁メーカーなどの新規顧客を開拓、事業継続に成功した。最近では、寿司のシャリを簡単につくることができる寿司トングを自社開発して話題を集めたこともある。

また、同社はベトナムに縁があり、後藤氏が人材も積極的に雇用。きっかけは知人を通じて新潟大学大学院に留学していたベトナム人女性のアン氏と知り合い、採用したこと。アン氏は現在、営業課長の要職に就いて大きな戦力となっている。その後、同社は継続的にベトナム人の技能実習生も雇用している。

2022年7月4日

株式会社ゴトウ熔接

新潟県燕市粟生津1393-1
【株式会社ゴトウ熔接 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡