きらめき企業

森と村と人の未来を描く
森林レンタルサービス

駒澤大学経済学部准教授
大前 智文 氏

岐阜県加茂郡東白川村で林業・製材業を営む株式会社山共 (やまきょう)。国産材の製材・加工・販売を行う機動的かつ近代的な木材事業者である。近年では森林の新たな活用方法として森林レンタルサービス「forenta(フォレンタ)」を始動させ、山主や利用者から大きな反響を得ている。

1955(昭和30)年の創業より所有林の拡大に加え、事業の機械化・近代化を志向しつつ、国産材を取り扱う木材事業者として生き残ってきた。2007年には現代表取締役の田口房国氏が事業を引き継いだものの、補助金頼りとなった産業のあり方に問題意識を持ち続けていた。

転機は新型コロナ禍で広がったソロキャンプブーム。山林を購入せずに楽しむ仕組みとして森林レンタルサービスを考案し、予想以上の反響を得た。森林のプロが考え抜いたビジネスモデルは自然・森林と触れ合える場所の提供だけでなく、国内林業・製材業を支える仕組みとしても機能し、事業は軌道に乗りつつある。

田口氏は「森林レンタルサービスにより地方の山主には木材生産以外の森林活用が、都会の利用者には自然の中のプライベート空間が提供できる。この互恵的関係から地域・村が活性化する」と話す。

2023年8月28日

株式会社山共

岐阜県加茂郡東白川村越原976-10
【株式会社山共 HP】
【株式会社山共 フォレンタ事業部】

過去記事一覧

大前智文

1982年愛知県生まれ。
名城大学経済学部特任助手、岐阜協立大学経営学部講師を経て、2021年4月から駒澤大学経済学部准教授。日本中小企業学会第14期理事。フットワークの軽さを信条として、理論と現実との絶え間ない行き来から中小企業に関する調査・研究に取り組む。

大前智文