きらめき企業

環境配慮と経営強化を両立
技術開発重視のめっき企業

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

東京都北区に本社を置き、埼玉県川口市に工場と技術研究所を置く常木鍍金 (つねきめっき) 工業株式会社は2022年に創業70周年を迎えためっき加工企業。環境対応を含めた技術開発に真摯かつ積極的に取り組んでいる。

めっきには金やパラジウムなど通電性・安定性の高い貴金属が用いられてきたが、金やパラジウムの価格は近年高騰。金は5年で約1.7倍になった。そんな中、同社の技術研究所が中心になって開発したのが「環境に配慮した超硬質銀めっき」だ。

従来、銀は安価だが、硬度が低く、変色リスクもあり、機能めっきに不向きとされてきた。しかし、同社はめっき液や光沢剤を改良して変色リスクを抑え、銀めっきの硬度を2倍以上にすることに成功。また、銀めっきに必要とされていためっき液の冷却も不要になるように改良し、フロンの削減や節電も実現した。

もともと、めっき業には環境配慮が強く求められる。同社は技術開発に傾注することで、廃棄物削減や節電といった環境配慮と経営力の向上を両立させてきたといえるだろう。

同社のめっき部品は通信機器、光学機器、車載機器、医療機器、半導体測定検査機器、産業機器など多様な製品に用いられている。

2023年3月27日

常木鍍金工業株式会社

東京都北区田端新町3-8-2
【常木鍍金工業株式会社 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡