きらめき企業

社会課題解決を志向する
老舗圧力計メーカー7代目

東洋大学経営学部教授
山本 聡 氏

大阪市大正区の株式会社木幡計器製作所は1909(明治42)年創業の老舗ながら、ソーシャル・アントレプレナーの気風を有する7代目の代表取締役・木幡巌氏が、産学官連携によるイノベーションを実現している。同社の主事業は圧力計・差圧計の開発・製造。しかし、1990年代に圧力計の市場価値低下が進み、業界全体に閉塞感が蔓延。自社の進むべき方向性を模索するようになった。

そんな中、圧力計は「安全、安心、信頼の可視化」を社会に提供できるツールだが、労働力不足や作業の煩雑さから点検管理が不十分になっていることに気付く。それを解決しようと開発したのが、計器に後付けできるIoTセンサユニット「Salta ® (サルタ)」。稼働中の計器に取り付けることで自動検針や遠隔操作が可能になり、作業員の省力化と危険回避、ミスの減少などにつながっている。

また、実母の病気がきっかけになって呼吸器疾患に関する社会課題に気付き、呼吸筋力計(口腔内圧測定器)管理医療機器を開発。医療機器産業への参入も果たし、今では医療系の大学や研究所との共同研究を多面的に展開する。社会課題に向き合う木幡氏の情熱と行動が成長の源泉となっている。

※社会問題の解決に取り組む企業家。

2022年12月26日

株式会社木幡計器製作所

大阪市大正区南恩加島5-8-6
【株式会社木幡計器製作所 HP】

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山本聡

1978年生まれ。
機械振興協会経済研究所、東京経済大学経営学部専任講師・准教授を経て2019年4月から東洋大学経営学部教授 (担当は中小企業経営論)。金型や部品加工など素形材産業を主な対象としながら、国内外の中小企業の経営体制の変化を解明することが研究テーマ。経営者や技術者向けにレポートを執筆するほか、さまざまなセミナー講師も務める。

山本聡