「モーダルシフト」再び
地域政策研究家
荒田 英知 氏
荒田 英知 氏
運輸業界の「2024年問題」が目前に迫ってきた。「働き方改革」の一環で2024年4月からトラックやタクシー運転手の時間外労働時間が年間960時間までに制限されるため、これまでどおりの運用ができなくなるというものである。
このため、物流分野ではトラックから鉄道、船舶などに輸送モードを切り替える「モーダルシフト」の加速が求められている。特に長距離での脱トラックが焦点となる。
JR貨物は1日約500本の貨物列車を運行している。また、トヨタ自動車は2006年から国内工場間の部品輸送に専用列車を仕立てている。
宅配大手のヤマトホールディングスは法人向けの鉄道コンテナ輸送も扱っており、大企業に限らず利用可能だ。同社は自社用貨物機を調達して航空貨物にも参入する。すでにクロネコマークをつけた専用機が飛行訓練を始めており、札幌・東京・北九州・沖縄を結ぶ4路線で、2024年4月に運航開始する。北九州市はこの動きを地域再生の好機と捉え、大型機も離着陸できるよう空港滑走路の延長工事を始めた。
実は「モーダルシフト」は1980年代から必要性が唱えられてきた。輸送単位あたりの省エネルギーやCO2削減など「地球に優しい」という観点が主眼であったが、切迫感には欠けていた。今回は労働力不足という現実がアクセルを踏んでいる。どんな変化が生じるか注目したい。
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(2022年7月11日) - 日米それぞれのインフレ対応
(2022年7月25日) - GX 経済移行債
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(2022年11月21日) - 金利上昇への備え
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(2023年10月16日) - 訪問税で観光地はどう変わる?
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(2023年12月11日)
1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学を卒業後、PHP研究所に入社。地域政策分野の研究員として30年以上全国をフィールドワーク。北海道大学特任教授、九州国際大学非常勤講師も務めた。