日本の問題

危険なバス停と改良すべき踏切

地域政策研究家
荒田 英知 氏

全国に約40万カ所あるバス停のうち、1万カ所超が「危険なバス停」であるとの調査結果を国土交通省が3月にまとめた。危険度は横断歩道や交差点との位置関係で3段階に区分され、停車時に車体が横断歩道にかかるなど、最も危険度が高いバス停は1,615カ所を数えた。

バスを降りて横断歩道を渡ろうとしたら、追い越してきた車やバイクにぶつかりそうになった、という経験をした人もいるだろう。

危険なバス停は移転や廃止が進められているが、利用者の利便性や移転先の反対で動かせないこともある。その場合は、降車時のアナウンスや注意喚起する看板を立てるなどの策しかない。安全対策をビルトインした自動運転の実用化が待たれよう。また、同省は4月に全国25都府県にある93カ所の踏切を「改良すべき踏切」に指定した。遮断機が下りるまでに歩行者が渡りきれないような危険な踏切や、渋滞の原因となる「開かずの踏切」などを解消することが目的である。

対象となった踏切では、鉄道事業者と地元自治体により、2025年までに立体交差化や踏切道の拡幅などの従来の対策に加え、地域事情に応じた迂回路の整備やバリアフリー化などが進められる。

どちらの施策も背景にあるのは高齢化の加速。老いが進む市民の生活の安全を確保するため、社会インフラを総点検する必要があるだろう。

2021年6月14日

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荒田 英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学を卒業後、PHP研究所に入社。地域政策分野の研究員として30年以上全国をフィールドワーク。北海道大学特任教授、九州国際大学非常勤講師も務めた。

荒田 英知 (あらたひでとも) 氏