五輪イヤーの景気見通しは?
大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏
岡田 晃 氏
2020年の景気は国内外に多くのリスクはあるものの、引き続き着実に拡大していくとみている。
その根拠は3つ。第1は、国際情勢のリスクがやや低下したことだ。昨年末に米中が貿易交渉で「第1段階の合意」に達し、英国総選挙では保守党が勝利した。もちろん米中対立は今後も続くであろうし、英国のEU離脱の不透明感もなくなったわけではない。それでも、とりあえずではあるが、安心感を生み、日米など世界の株価が相次ぎ高値を更新した。今年もこの流れを引き継ぐことが期待される。さらに今年は米大統領選の展開が注目となる。
第2は、何といっても東京五輪開催だ。7月の開幕に向けて、様々な準備イベントなどで五輪ムードが盛り上がり、開催前から開催期間中にかけては訪日外国人の一段の増加が見込まれる。これが経済効果をさらに拡大させることは間違いない。
これに対し「五輪後の景気後退」を心配する声が聞かれる。確かにその可能性はゼロではない。しかし、訪日外国人増加の基調はもはや後戻りするような展開ではなく、その経済効果の広がりは、五輪後も、中長期的な時間軸でも継続する大きな流れだ。
第3は、本コラムで取り上げてきたように、日本企業の競争力強化や経済構造の変化が起きていることだ。これが今年の景気を支えるとともに、令和の時代に日本経済が本格復活を遂げる原動力となるだろう。
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(2019年12月16日)
1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。