上場企業の業績が急速に悪化
経済ジャーナリスト
大西良雄 氏
大西良雄 氏
上場企業の2018年10~12月期は大幅減益に転じた。蓄えを吐き出し、2019年3月期の純利益は3年ぶりの減益になりそうだ。
上場製造業の純利益の6割以上を占める自動車・同部品、電気機器、機械の3業種の急減速が響いた。自動車・同部品は中国の2018年新車販売が優遇税制終了と米中摩擦による購買意欲の低下を受けて前年比2.8%減となったことの影響を受けた。これは28年ぶりの減少だという。
電気機器では米アップル社のiPhone(アイフォン)販売不振と中国のスマートフォン需要一巡が重なり電子部品などの数量減が目立った。機械では中国向けのNC装置、工作機械、FA(工場自動化)機器が急減した。スマートフォンやサーバー向け半導体の低迷で半導体製造装置の受注も減退。米中摩擦に伴う先行き不安から中国企業が設備投資を凍結、延期した影響が出た。
非製造業では小売り、食品、外食など消費関連が悪化。労働力不足や最低賃金の引上げで人件費が上昇したためだ。宅配業は人件費を料金に転嫁でき増益が見込まれるが、これは例外だ。
業績の急減速は春闘の賃上げにもブレーキをかけかねない。消費税率引上げ後の消費にも影響が出そうだ。米中摩擦の解決が急がれる。
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1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。