改元の年・2019年の景気は?
大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏
岡田 晃 氏
2018年の日本経済はトランプ米国大統領の言動や米中貿易戦争などに振り回されたが、2019年も海外の波乱に揺れ動く1年になりそうだ。
しかし、私はそれでも日本の景気回復が続くとみている。その理由は2つ。第一に、この数年間のアベノミクス効果によって日本経済の足腰はかなりしっかりしてきていること。本コラムでもこれまで指摘してきたように、日本企業は過去最高益を連続して更新し、収益力が高まっている。雇用情勢も大幅に改善するなど、全体として構造的な強さを取り戻しつつある。この流れは一時的な現象ではなく、中長期的に続きうるものだ。
第二は平成が終わり、新しい元号となることだ。明治以降の改元は天皇崩御に伴うものだったため、経済活動が一時的に抑制される傾向があった。昭和天皇崩御の前後、イベントやスポーツ、テレビCMなどの自粛が広がったことを記憶している人もいるだろう。しかし今回は逆に、新天皇即位と改元の記念イベントやセールなど消費の押し上げ効果が期待でき、「新しい時代が始まった」という前向きなムードが広がりそうだ。
改元の年・2019年が、日本経済の“本格復活元年”となることを期待したい。
2019年1月7日
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(2018年4月16日) - インバウンド
(2018年4月23日) - 初任給の底上げと格差
(2018年5月1日) - 「高圧経済」の功罪
(2018年5月7日) - デジタル・トランスフォーメーション
(2018年5月14日) - 景気の読み方
(2018年5月21日) - 明治150年に学ぶ“日本の底力”
(2018年5月28日) - 民泊新法
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(2018年6月11日) - 景気拡大の持続性
(2018年6月18日) - 米国の主張する「FFR」
(2018年6月25日) - イスラエルにて
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(2018年7月9日) - 外国人労働者
(2018年7月17日) - 進まぬ老朽水道管の更新
(2018年7月23日) - 空き家ビジネス
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(2018年8月20日) - 観光で広がる経済成長の裾野
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(2018年9月3日) - 広がるシェアリングエコノミー
(2018年9月10日) - タワーマンションの今後
(2018年9月18日) - ベンチャー企業の「出口」
(2018年9月25日) - 地方創生はできるのか?
(2018年10月1日) - 外国人の視点に立った対応
(2018年10月9日) - ご当地ナンバー
(2018年10月15日) - なぜ、ユニコーン企業が出ないのか?
(2018年10月22日) - キャッシュレスによる地域活性化
(2018年10月29日) - 消費税の意義を考える
(2018年11月5日) - 「大いなる安定」の終わり
(2018年11月12日) - 貿易戦争でも景気拡大が続く米国
(2018年11月19日) - 「圏域行政」は特効薬になるか
(2018年11月26日) - 先端分野の外国人材も不足
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(2018年12月17日) - スーパー・シティをつくろう
(2018年12月25日)
1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。