日本の問題

景気拡大に黄信号

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

7~9月期の実質GDP成長率は豪雨や台風、地震といった自然災害が相次いだこともあり、マイナス成長に陥った。10~12月期はその反動でプラス成長に戻るとは考えられる。

しかし、輸出や生産の停滞は2018年に入ってから続いている傾向であり、自然災害以前から起こっていた。海外経済が減速していることによる。アメリカ経済は堅調であるが、中国、ユーロ圏は減速傾向が強まっている。先行きについては、利上げや貿易戦争の影響で、アメリカも減速していく可能性が高い。

現在の日本の景気は2012年12月に回復に転じ、この11月まで続いていたとすれば拡大期間は72カ月となる。バブル景気(1986年12月~1991年2月、51カ月)や高度成長期のいざなぎ景気(1965年11月~1970年7月、57カ月)はすでに抜いており、仮に12月まで続けば、2008年のリーマンショック直前まで73カ月に及んだ戦後最長の景気拡大期間に並ぶことになる。

現在の景気停滞が、内閣府の定める景気基準日付上の景気後退に認定されるまで深いものになるかどうかはともかく、景気拡大がこのまま続くという楽観論は急速に消えつつある。

2018年12月10日

過去記事一覧

米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏