日本の問題

イスラエルにて

東洋大学国際学部教授・慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏

イスラエルと聞くと、安全保障上の問題が脳裏をよぎる人は多いだろう。だが、その一方でイスラエルは今、ハイテクを活用したスタートアップ大国としても大きな注目を集めている。

今回、初めてイスラエルを訪問した。日本を出る前から「安全は大丈夫か?」と多くの方々に聞かれた。しかし、実際に訪問して、スタートアップ大国としての大きな力を感じることができた。

人口880万人ほどの国が、人口約8,000万人のイランや約3,000万人のサウジアラビアなどのイスラム諸国に囲まれて生き延びるために、イスラエルは知恵で勝負。サイバーセキュリティなどの技術が突出している。加えて、軍隊の力が作用する。徴兵制で18歳になると入隊が義務づけられており、中でも優秀な若者はサイバー部隊に配属される。そこで訓練を受け、除隊後に起業する例も多いという。そうしたベンチャーが、アメリカのハイテク企業を支えている。

今やテルアビブには、北京、ソウル、香港、シンガポールなど、東アジアの主要都市から直行便が飛んでいる。つながっていない大都市は、ほぼ東京だけだ。今年は安倍首相もイスラエルを訪問した。イスラエルと日本の交流をもっと強化して、スタートアップのメカニズムを学びたいものだ。

2018年7月2日

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竹中平蔵 氏

1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。現在、東洋大学国際学部教授、慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】

竹中平蔵(たけなか へいぞう)