第4次産業革命、日本の可能性
東洋大学国際学部教授・慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏
竹中 平蔵 氏
人工知能、ロボット、ビッグデータなどを活用することで、産業社会が大きく変わろうとしている。「第4次産業革命」だ。しかし、日本政府の対応はやや遅れた。ドイツ政府が2011年に初めてインダストリー4・0という表現を用いたのに対し、日本の「成長戦略」で第4次産業革命が議論されるようになったのは2016年以降だ。
しかし、日本には大きな潜在力がある。第4次産業革命の象徴、“車の自動運転”を考えよう。バスもタクシーも不足している地方で、自動運転への期待は極めて高い。また、宅急便などの物流分野は、ドライバーの不足が問題となっている。自動走行への大きな社会的ニーズがあるのだ。
さらに日本には技術の基盤がある。自動車、センサー、カメラ…。問題は、規制によって道路上で自動走行の実験が自由にできないことだ。
この問題を解消するため、「規制のサンドボックス(砂場)」という制度がイギリスでつくられた。自由に試行錯誤を繰り返せるスペース。松下幸之助氏の有名な言葉、「やってみなはれ」を実現する場だ。その制度が日本でもつくられることになり、今国会に法律案がかけられている。
国会できちんと政策論議が行われるか…。第4次産業革命における日本の可能性を左右する。
2018年4月9日
- トランプ政権の保護主義
(2018年4月2日)
1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。現在、東洋大学国際学部教授、慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】