明治150年に学ぶ“日本の底力”
大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏
岡田 晃 氏
今年は明治維新から150年の節目の年にあたる。周知のように、日本は明治維新によって急速な近代化を成し遂げ、そこから今日の日本経済の基礎がつくられた。
それを物語るのが、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」だ。同遺産は軍艦島、松下村塾、旧グラバー住宅、韮山反射炉など全国8県の23遺産で構成されており、産業発展の跡を示す史跡群である。
たとえば反射炉。幕末期、薩摩や長州などの雄藩や幕府が鉄製大砲を作る装置として相次いで建造したものだが、オランダの書の翻訳だけを頼りに試行錯誤を重ねた末に完成させた。まさに日本のモノづくりの原点である。驚いたことに、同遺産には明治以来100年以上たった現在でも新日鉄住金八幡製鉄所や三菱重工業長崎造船所で稼働中の施設が含まれており、日本のモノづくりの水準の高さがよくわかる。
これこそ日本の底力だ。同遺産は先人たちの高い志を我々に伝え、元気を与えてくれる。そこには日本経済再生のヒントが詰まっている。私の新刊『明治日本の産業革命遺産―ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった!』(集英社)では、そんな先人のドラマを描いている。
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1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。