日本の問題

ご当地ナンバー

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

自動車のナンバープレートが多様化している。従来は自動車検査登録事務所の所在地名が表示されていたが、2006年から弾力化され、登録台数5万台を目安に別の地名での表示が可能になった。これが「ご当地ナンバー」である。

これまでに全国29地域で導入されてきた。平泉(旧岩手)、会津(旧福島)、つくば(旧土浦)、富士山(旧山梨、沼津)、倉敷(旧岡山)、奄美(旧鹿児島)など、地域アイデンティティを色濃く感じさせるものが多く、知名度の向上や観光誘客にも役立っているようだ。

この10月には、新たに「図柄入りナンバープレート」が登場した。背景に地域を象徴する風物や特産などのイラストが入っている。さくらんぼ(山形)、飛行機(成田)、花火(長岡)、恐竜(福井)、阿波おどり(徳島)、温泉(大分)など従来ナンバーも含めた全国41地域でスタートし、17地域が追加予定という。

2020年にご当地ナンバーを導入する三重県の伊勢志摩では、図柄を住民の人気投票で決める。一方、朝ドラ(NHK連続テレビ小説)の舞台にもなった岐阜県の東美濃は住民アンケートで反対が上回り、ご当地ナンバー創設を断念した。たかがナンバー、されどナンバーである。

2018年10月15日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏