日本の問題

観光で広がる経済成長の裾野

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

日本政府観光局(JNTO)によると、1~6月の訪日外国人数(訪日外客数・推計値)は前年比15.6%増の約1,590万人となり、上半期として初めて1,500万人を超えた。7月以降は西日本豪雨や台風、猛暑などの影響が懸念されるが、それでも流れは変わらないだろう。一方、観光庁によると、訪日外国人旅行消費額(確報値)は2017年に4兆4,000億円強に達し、このペースなら今年は5兆円近くになる見込みだ。

政府は東京五輪が開かれる2020年に訪日外国人4,000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円の目標を掲げているが、十分に達成可能だ。

これだけでも経済効果の大きさがわかるが、そこから2次的・3次的効果も生まれている。訪日外国人増加に対応したホテル・飲食店などの雇用増加や設備投資、地域の交通網やインフラ整備など、観光業や小売業にとどまらない。まちづくりやおもてなしの充実などソフト面での効果も見逃せない。最近は地方を訪れる外国人観光客も増えており、地方の活性化にもつながる可能性がある。

ただ、観光客増加への対応が追いつかない場面も増えている。受け入れ態勢をもっと整備し、「可能性」を「現実」に変えることが重要だ。

2018年8月27日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)