危機を乗り越え強くなった日本企業
大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏
岡田 晃 氏
東京証券取引所の集計によると、2018年3月期の上場企業の当期純利益合計額は前期比32.3%増の約31兆7,873億円で、過去最高益を更新した。上場企業の業績はアベノミクスによる景気回復を反映して2014年、2015年(いずれも3月期、以下同)に2期連続で最高益。翌2016年は約2%の減益となったが、金額ではリーマン・ショック直前に過去最高だった2008年を上回り、続いて2017年、2018年と最高益をさらに更新している。
つまりほぼ5年間、過去最高水準の利益をあげ続けているわけで、日本企業が円高やリーマン・ショックなどの危機を乗り越え、収益構造を着実に強化していることを示している。
今期(2019年3月期)は2%程度の減益が予想されている。ただこの見通しは、多くの企業が今期の為替レートを1ドル=105円程度と想定していることが前提。これを現状の110円程度と仮定すると、今期も増益が見込まれる計算で、正味では今期も最高益予想なのだ。もちろん、今後の為替変動次第では業績が下振れするリスクはあるが、それでもかつてに比べれば為替変動への抵抗力をつけている。日本企業は着実に強さを取り戻しつつある。
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1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。