日本の問題

空き家ビジネス

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

全国的に空き家が増えているが、ビジネス化に成功する事例も出ている。近年活発化したのは、地方を中心に空き家を数百万円程度で安く買い取り、数百万円程度で改修し、1,000万円から1,500万円程度で売る、買い取り再販ビジネスである。地方では新築の半値以下であり、立地や物件の状態によっては十分需要が生じる。

親から引き継いだ土地付きの家を数百万円で売却するのには抵抗があるが、保有し続けても税負担、管理責任、さらには事故が起こった場合の工作物責任などを負うばかりでメリットがなく、値段がついただけましと考えて売却する人が増えているのだ。

その代表的な事業者は、こうしたビジネスの先駆けで、今や全国に拠点を置く株式会社カチタス(群馬県桐生市)である。競売物件の買い取りから事業を始め、近年は空き家の買い取りで成長し、地方都市を中心に100店舗以上を持つ。

年間の取り扱いは約4,000戸で、累計4万戸以上の取り扱い実績を持ち、2番手以下に圧倒的な差をつけている。空き家を買い取る目利きが、この立地でこの状態ならば売れると見込んだ物件を仕入れ、売れる値段で確実に売り切る戦略を取っている。

2018年7月30日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏