タワーマンションの今後
富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏
米山秀隆 氏
タワーマンションの供給が止まらない。不動産経済研究所によると、2018年以降に完成予定の20階建て以上の超高層マンションは294棟10万8,757戸に上る。
一方で、タワーマンションの供給が急増した2000年代以降の物件が今後、続々1回目の大規模修繕を迎える。タワーマンションの修繕はゴンドラ作業が必要になるなど、費用がかさむ。
埼玉県のあるタワーマンションでは、1戸あたり約180万円、総額12億円を要した。1回目の費用は賄えても、2回目のエレベーターや給排水システムなどの交換にはより費用がかかり、修繕積立金の増額が必要になる。
通常のマンションより費用がかかることを見越し、神奈川県のあるタワーマンションでは、修繕積立金月額を一気に2.5倍に引き上げた。適切な維持修繕によって資産価値を守りたいとの合意ができたことによる。将来的には、区分所有者の意識が高く、適切な維持修繕を行えるタワーマンションとそうではないタワーマンションに2極化していく可能性が高い。タワーマンションは中古になっても値崩れしにくいと考えられているが、後者の場合、将来的に値崩れが避けられなくなるだろう。
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1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
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