なぜ、ユニコーン企業が出ないのか?
経済ジャーナリスト
大西良雄 氏
大西良雄 氏
「ユニコーン企業」とは企業評価額10億ドル(約1,100億円)以上の新市場・新技術を拓くイノベーション型の非上場企業を指す。その多くはシェアエコノミー(共有経済)、電子商取引、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、フィンテック(金融とITの融合)、医薬・バイオなどを牽引する成長企業だ。神話の一角獣ユニコーンのように「まれな存在」といえる。
米調査会社CBインサイツによると、2018年のユニコーン企業は世界で260社。うち米国企業が約50%、米国を猛追する中国企業が約30%を占める。ほかにはインド、イスラエル、南アフリカなどの企業が目立つが、日本勢はAI開発のプリファード・ネットワークスの1社のみだ。
政府は「未来投資戦略」でユニコーン企業を2023年までに20社程度創出するとうたった。だが、政府は科学技術予算の拡大に及び腰で、新技術、新市場をめぐる政府規制も少なくない。若者は安定志向が強く起業を敬遠しがちだ。ベンチャー投資額は米国が年間約7.5兆円、中国が約2.2兆円、対して日本はわずか1,529億円(ベンチャー白書2017)だ。
「ユニコーン」の輩出を妨げる環境を改善することなしに20社創出の目標はかなわない。
2018年10月22日
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1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。