先端分野の外国人材も不足
経済ジャーナリスト
大西良雄 氏
大西良雄 氏
外国人労働者の受け入れをめぐる議論が白熱しているが、労働力不足は先端分野でも深刻だ。経済産業省は2020年にはビッグデータ、人工知能などの先端IT分野で4.8万人、情報セキュリティー分野で19.3万人が不足すると推計している。その他の先端分野でもイノベーションを担う人材不足が顕著で、「高度な知識・技能を持つ外国人材」の受け入れ拡大が急務だ。
政府は高度専門職を設けて、優秀な外国人に最短在留1年で永住許可申請できるなどの優遇を与え、受け入れに懸命だ。だが、スイスの国際経営開発研究所の「世界の高度人材が魅力的と感じる国ランキング(2017年)」では日本は63カ国中51位、アジア11カ国中では最下位だ。
日本は高度人材に敬遠される国のようだ。その理由には、キャリアパスが不明確、昇給・昇格が遅い、能力や成果に応じた評価がない、幹部登用や役割分担が不透明、長時間労働になる、英語が通じないなどが挙げられる。報酬が少ないうえ技術研究開発費に乏しいことも難点だ。
これらの日本の労働環境が是正されなければ「高度人材が魅力を感じる国」で日本より上位のアラブ首長国連邦、シンガポール、香港、オーストラリアなどに人材を奪われかねない。
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1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。