日本の問題

キャッシュレスによる地域活性化

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

海外に比べ遅れていた決済のキャッシュレス化で、日本でも様々なサービスが提供されるようになっている。QRコード(2次元コード)を使ったスマホによる決済がその代表である。中国では、電子商取引大手のアリババグループの「アリペイ」がよく使われている。

QR決済には、ネット企業、携帯キャリア、銀行、流通など様々な企業が参入しているが、地方では、地域通貨と結びつけたサービスも登場している。岐阜県の飛騨高山を地盤とする飛騨信用組合は、2017年12月、現金や預金を「さるぼぼコイン」という地域通貨に交換して、スマホで使える仕組みを導入した。チャージする際に1%分のポイントが付与される。加盟店は、当初の約100店舗から約800店舗にまで拡大した。長野県駒ヶ根市がその先駆けだが、従来からICカードに地元の金融機関などを通じてお金をチャージし、地元商店で使える仕組みがあったが、そのQR決済版である。

さらに飛騨信用組合は、アリペイと提携し、QRコードの共通化を図り、インバウンド需要の取り込みにも乗り出した。地元への消費誘導をQR決済によって促そうとする仕組みは、地域金融機関の新たな取り組みとして興味深い。

2018年10月29日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏