波乱含みの統一地方選
九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏
荒田英知 氏
4月に投開票される統一地方選挙の中で、知事選が波乱含みとなってきた。選挙が行われる10道県のうち、2月15日時点で少なくとも4県で保守分裂の様相を呈しているのだ。
福岡県では過去2回の選挙で自民党が支持してきた現職に代わって、今回は地元県連が新人の元厚生労働官僚を擁立し党本部も推薦を決めた。これに対して、自民の一部に加え、野党側からも現職支持に回る動きが生じている。
福井県では5選を目指す現職に対して、自民党県議から前副知事を推す動きが広がり、県連が分裂状態にある。徳島県でも5期目を狙う現職に対して自民党県議が立候補を表明した。島根県では新人3人が地元県連の推薦を求め一本化に至っていない。これら3県は保守王国とも呼ばれ、過去の知事選では無風が続いていた。今回のような事態は、政権与党が強すぎるが故に起こったとの指摘もある。
1990年代には、地方分権の流れを受けて「改革派知事」が各地で誕生し、国と対峙する場面も見られた。当時と比べると現在の顔ぶれは総じて堅実・地味な印象だが、統一選を通じて、地方から改革を引っ張る新たなリーダーが生まれるかどうかに注目したい。
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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。