日本の問題

定額制のビジネスモデル

シンクダイン 研究主幹
米山秀隆 氏

音楽や映像配信では当たり前だった定額制が、リアルの世界でも普及している。定額制の狙い、タイプにはいくつかある。第1は、従量制では需要発生に限界があるところを、会員は定額で視聴し放題などとし、需要喚起を図るものである。

第2は、所有した商品ひとつしか利用できないよりは、その時々で様々なブランドを使いたい需要がある場合、その商品の定額サービスが成り立つことになる。高級時計やブランドバッグなどがその例で、定額料金で一定範囲のブランド製品から利用できるサービスが提供されている。

第3は、店舗の稼働率向上を狙うものである。定額制サービスの供給者が加盟店を集め、消費者は定額でその店舗の中から一定回数、利用できる形態である。飲食店や美容室などでこのタイプがある。店舗にとっては通常のサービスより割安な供給になるが、稼働率を上げられる。

第4は、消費者の来店を促すため、基礎的サービス部分を定額にするものである。たとえば、コーヒーショップでのコーヒー定額制がこれに当たる。消費者が来店時に派生消費を行えば、供給者にとって採算が合う。

定額制は、最近は不動産分野にも広がっており、各地で滞在できる施設を定額で供給するものや、ゲストハウスの定額制などがある。それぞれ、第2、第3 のタイプに相当するものであり、今後も定額制の裾野は広がっていきそうである。

2019年5月27日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研を経て、2019年4月から現職(シンクダインはカシワバラコーポレーションのシンクタンクであり、2019年10月にカシワバラコンパスに社名変更の予定)。専門は、住宅・土地政策、日本経済

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏