日本の問題

復活する日本のモノづくり

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

かつて日本の家電や半導体、液晶などは世界トップの座にあったが、中国や韓国、台湾などに取って代わられ、「日本のモノづくりは弱体化した」とのイメージが強い。しかし、日韓関係の悪化は、実は「日本企業は強い」という事実を浮き彫りにした。日本政府が韓国向け輸出管理を強化した3品目(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)は、いずれも半導体生産に不可欠な高品質・高純度の素材で、日本企業が90%以上など圧倒的なシェアを占めている。言葉を換えれば、ほとんど日本企業にしか製造できないとも言える。韓国は半導体生産では世界トップの座にあるが、それは日本企業の強さの上に成り立っているということなのである。

この3品目だけではない。スマートフォンに内蔵される高性能の部品の多くは日本企業が供給しており、「日本企業なしにスマホはつくれない」と言っても過言ではない。

今や多くの電子部品・素材で日本企業が世界の圧倒的なシェアを誇るようになっている。そのため競合相手が少なく、他に代替がきかないという立場を獲得している。

このような強みを発揮できるようになったのは、厳しい経済状況の中にあっても得意な技術力を磨き、独自のビジネスモデルを築いたからだ。これがあれば世界経済の荒波も乗り越えていけるはずだ。日本のモノづくりは確実に復活しつつある。

2019年10月7日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)