防災情報を知る
九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏
荒田英知 氏
今年も豪雨シーズンが到来し、すでに被害も発生している。報道では「警戒レベル」という言葉が用いられるようになった。昨年7月の西日本豪雨の際、気象庁や自治体から発せられた情報が、被災者に的確に伝わっていなかったとの指摘をふまえ内閣府がまとめたものだ。
警戒レベル1と2は気象庁が発表する早期注意情報や大雨・洪水注意報など。警戒レベル3になると高齢者に避難が促され、警戒レベル4では全住民に避難が求められる。この段階が従来の避難勧告とより強い意味の避難指示に相当する。警戒レベル5はすでに災害が発生しており、命を守る行動が必要としている。
警戒レベル3以上は市町村が発令するが、明確な基準があるわけではなく、自治体の情報収集力と首長の決断力に委ねられている。空振りを恐れて避難指示を躊躇する場合もあるようだ。また、過去の避難指示で実際に避難した人は、住民の数%にとどまった例が多い。逆に全住民分の避難施設を確保している自治体は極めて少ない。
同じ市町村でも地区によって状況が異なるなど、自治体の「公助」による防災には限界がある。結局のところ、身の安全を守るためには、多くの自治体が公表している洪水ハザードマップなどであらかじめ居住地の状況を把握し、必要な備えを整えておく「自助」や「共助」の姿勢が最も大切だということになる。
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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。